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どうして遺言書が必要なのか。



1.うちは兄弟姉妹みんな仲が良いから遺言を残さなくても死後はみんなで仲良く分配するはず
  
  私がしばしば、お話しを受ける際に、上記のようなお考えの方が非常に多く居られます。確かに、現在は兄弟姉妹皆、仲良くお過ごしかと思われます。しかし、例えば、ご兄弟それぞれにご家庭ができると相続人ではない、ご兄弟の奥様または旦那様のご意見も相続実務では影響することが多いのです。また、折りしも、亡くなった際に各ご家庭で金銭が必要となるケースが御座います。高額の医療費、お子さんの入学金など学費、住宅購入の頭金など、その時々の状況によってそれぞれ余裕がある場合とそうでない場合があります。すなわち、「〜するはず」という考えで遺言や相続に備えた手続きを何も行わなければ、場合によって、亡き人の思いのよらない悲しい争続が発生してしまう可能性があるといえます。





2.うちは資産家ではないし、財産が少ないから遺言を残さなくても大丈夫なはず

  確かに全く財産が無い場合やマイナスの財産しかない場合は遺言書の必要性は一般に低いといえます。しかし、例えば持ち家がある場合や銀行預金・郵便貯金があるなど、少しでも財産がある場合は話しが全く逆となります。私が受けた案件では十数万円であっても貰えるものは貰いたいというお考えの相続人の方も居られましたし、亡き人と疎遠であったためか、「私には全く関係ないから要りません」という相続人の方も居られました。すなわち、各相続人の方々で思いは異なるのです。従って、遺言などの予防措置を講じないと「お父さん(お母さん)は亡くなる前に私にこの建物をあげるといってた」、「死後は寄付して欲しいと亡くなる前に言ってた」など残された人はどうしたらよいのか、困惑することがあります。また、「私はお父さん(お母さん)を介護してたからもっと貰いたい」、「いやいや、あなたは住宅購入資金を援助してもらったから我慢するべき」など紛糾することがしばしばあります。亡き人の意思そっちのけで争続が発生する可能性を秘めています。





3.うちは家族に「〜円は市に寄付して、残りは平等に分配」とさんざん言ってあるから大丈夫なはず

  民事の紛争事件において必ずといっていいほど出てくるのが「言った、言わない」の争いです。この「言った、言わない」は亡き人に確認する手段が現在、科学的に存在しないので証明する方法がありません。従って、残された人同士で証明できない争いが生じる可能性があるといえます。また、遺言書などが無い場合、亡き人がいくら生前に「こうして欲しい、ああして欲しい」と伝えたとしても、実際に亡き人の思いを残された人が実行してくれるとは、故意に限らず、分かりません。すなわち、亡き人の思い・意思を確実に伝えるため、かつ要らぬ紛争を予防するために遺言書を作成する必要性があるのです。





4.私は一人身だから死後は国かなんかに財産が受け継がれてしまうから何をしてもしょうがないはず

 近年、一人身の高齢者が多くなっています。確かにお一人身の方で親・兄弟・姪・甥・叔母・叔父・子供いずれも居られず、生前に誰にも世話にならず、自立生活をなさっていた場合、遺言を残さなければ国庫に帰属します。しかし、遺言で生前お世話になった方や親友、遠くの親族に財産を受け継がせることができます。この遺贈についても遺言で指定をすることができますので、生前にどなたかに財産の一部または全部を受け継がせたい場合は遺言書を作成することで国庫に帰属させない、最期の遺志を実行することができます。